今日のSINoALICE(シノアリス)はどうかな?
-あれをご覧。狂いし者だ。
ネイトメアたちがひそひそと話し合う。
-目を合わせないで。殺されるから。
・・・思い出す。
暗い森。月夜の道。お菓子の家。魔女の竈。
魔女が兄様を。
太らせて、食べようと。
私は竈に魔女を押し込めて。
・・・それを私は竈から見ていた。
私は私を助けた。
私は私に助けられた。
そして私は私を殺した。
私は私に殺された。
私は私を求めて。
私は私。
私じゃない。
小さなゴーレムの問いかけに、少女はとうとうその名を口にした。
「私は-ヘンゼル。」
私はヘンゼル。
そう、兄のヘンゼルです。
では、この首は?
「グレーテルだ」
一度だけ咲く花のように正気に戻ったヘンゼルの瞳から、透明な涙が一粒、零れ落ちた。
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