今日のSINoALICE(シノアリス)はどうかな?
「やった!ついに完成した!」
マンションの一室に嬉しそうな声が響く。
ファミリー向けの物件にはまったく似つかわしくない、物々しい研究用設備に囲まれて、眼鏡の女性は目を爛々と輝かせていた。
「さあ、時を飛び越えましょう!」
震える指で押したのは起動ボタン。
見る間に部屋は光で満ちて-
理解できないこと。
不思議な事。
それらはすべて私のご飯。
解明するのが私の生きがい。
だから、目の前に現れたに不思議な人形も、いつもとちょっと違う人々も、調べたくてたまらない。
この幻覚症状が、マシンの起動による副作用ならば、サンプルとして残さないといけません。
風景はいつもと同じようですね。
でも街の人は少し暴力的?
というより、そもそも人ですかね?
理由もなしに攻撃される覚えはないんだけど・・・
まあ、部品を盗んだりしましたが。
研究に必要だったから仕方ないですよね?
現れる怪物たちは、私の精神状態を反映したものかも。
それなら、教授たちが出てくればいいのに。
自らが被験体となって科学の神髄に迫る。
ああ、なんて崇高な意志!
私は研究者。
私こそは真実の追求者。
この研究で、それを証明してみせる!
「これが時を飛び越える副作用なら、私はなんて貴重な経験をしているの!」
目の前に現れた怪物たちを前にして、眼鏡の女性は歓喜に震えている。
「これを通り抜ければきっと、タイムマシンは成功する!」
目をキラキラと輝かせて、女性は意気揚々と怪物たちに突っ込んだ。
「ねえ、お人形さんたち。ちょっとXXしたい・・・」
「お断りシマス」
「断固拒否シマス」
即座に断られて、眼鏡の女性は不満げに頬を膨らませた。
「そうですね」
少女の笑みで女性は笑う。
けれど、その目は人形よりも冷たくて。
「サンプルたちに意見を聞くなんて間違ってました」
微笑みながらスパナを手にした女性に、人形たちは恐怖した。
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