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チラシの裏~勇者でいこう
ヘタレな勇者のブログ
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 今日のSINoALICE(シノアリス)はどうかな?


 ・Eale大学哲学部哲学科卒業
 ・Hardard大学院哲学科博士課程修了
 ・数々の国家警察は特殊部隊に所属。近年では外人部隊の訓練にあたる
 ・シュゼンツ軍隊式格闘術開祖
 ・その手腕から各国著名人のボディーガードを務める
 ・国際安全保全組織教官連盟に№.009として登録
 ・昨年日本に帰国し、極秘裏に国防アドバイザーに着任
 ・財界との関係も深く、欧州訪問の際にはよく頼られる
 ・芸術にも明るく、動画投稿サイトで活躍

 16歳
 N高校に入学。
 喧嘩に明け暮れる。
 その強さと普段の温厚な性格から裏番長という二つ名で、広く知られるようになる。
 また、学力も高くT大学精神神経科総合院長であるK先生らに精神医学の手ほどきを受ける。

 18歳
 某国特殊武装団体にトップの成績で入隊。
 飛び級で訓練課程を修了し、実働部隊に入隊。
 すぐさま隊長に任命される。

 19~24歳
 国際テロ組織と本格的な交戦を繰り返す。
 S国での人身売買組織と交戦し、900人の武装集団にたった一人で挑み、9名の人質の解放に成功した逸話はあまりにも有名。

 25~現在
 守るための戦いを極めたその姿から伝説の傭兵として広く裏社会で知れ渡るようになる。
 本人は嫌っているが死神を冠する№.009(ツーオーナイン)のコードネームで呼ばれる。


 これは、10年前の出来事。
 気付けば、屈強な小隊の面々は俺の速度についてこれなかったようだ。
 組織でも異彩を放つ力を持つ俺にとっては他者を置いてけぼりにすることは日常茶飯事だった。
 百人の傭兵と組手をした時も、10分後には俺以外の全てを地べたに転がしていた。
 俺にとって凶悪な武装集団だろうと、水のない状態で砂漠を踏破することも造作ない。
 だから、今回の任務も簡単に終わる-はずだった。
 俺がヤツラのアジトに到着すると、そこには小隊の面々が人質として縄に括り付けられていた。
 これが罠であることは分かり切っていた。
 だが、人を守るために生まれてきた俺は彼らを見捨てることができなかった。
 戦場で我を失う者を仕留めることなど、赤子の手をひねるより容易い。
 俺は次々と肉塊へと変えていった。
 それからしばらくすると、たった一人で俺に挑む者が現れた。
 「お前がこの組織の首謀者だな?」
 その刹那、俺は返答を待たず戦闘態勢へと移行した-
 組織を壊滅させ、人質を解放した俺はその足で次の戦地へと旅立った。


 じっとりとした脂汗と共に目を覚ます。
 「また、あの夢か」
 まだぼんやりと頭に浮かぶはあの日の荒れたジャフガンの戦場だった。
 「どうも戦場にいた頃の癖が抜けない」
 この国へ帰国し、もう数年が過ぎた。
 始めは平和そうに見えたこの国にも、あの組織の手が伸びている。
 マスコミによる印象操作は、国民の感情を静かに蝕み、いつしか国民は自らの頭で考えることを放棄するようになっていた。
 「組織が動き始める日は近い。俺が何とかしなくては。」


 この街をパトロールするようになり、俺の疑いは確信へと変わっていった。
 一見普通の街のように見えて、そこを隠れ蓑にして成長する闇が俺には見える。
 暗闇でも俺はサングラスを外せない。
 一度本気になった俺の眼光の鋭さで、一般人をひどく怯えさせてしまったことがあったからだ。
 普通に握手しても、握力が強すぎて骨を簡単に折ってしまったりもする。
 そんな普通の行為が他者を傷つけてしまう環境で他者とのかかわりが減っていくことは当たり前のことだった。
 そして、この国の平和を守る以外にも解決しなければいけない問題がある。
 それは雑踏に紛れても、消えることがない後悔が生み出した怨念との対峙であった。
 気が付けば、組織の足取りを追っていたはずが、ジャフガンから帰国するきっかえとなったあの日を思い返していた。


 ・・・それは雪の降るクリスマス。
 武将集団が起こした内乱が原因だった。
 某国の国防団体に腰かけていた俺は、緊急出動を要請する警報に飛び起きると、即座に戦地を示す座標へと向かった。
 白い息を吐きだしながら到着したその場所で、俺は思わず息を深く呑み込んだ。
 瓦礫の中から、炭化した遺体たちをひっぱりだし、トラックの荷台に放り込み続けた。
 やけに小さい肉の塊も散乱し、傷ついた少年たちのうめき声が合唱のように響いている。
 しばらくすると群衆の中から、俺を見つけた戦友が駆け寄ってきた。
 いや、這い寄ってきた。
 という方が適切な表現だろう。
 俺は、はみ出した腸を必死に体内に押しとどめようとしながら俺のもとへたどり着くと、乾いた笑い声をあげた。
 無言で握手を交わし、たわいない天気の話をする。
 数秒後には、彼は疲れた体を俺に預けていた。
 それから、どれだけ泣いたのだろう。
 俺は羽織っていた軍服で彼を包み込むと、街外れの墓地を目指した。
 そしてたどり着いた墓地は、死を嘆くものたちで埋め尽くされていた。
 彼の墓を掘っていると、俺のそばで項垂れる遺体に気付き、駆け寄るものがいた。
 その必死の形相ですぐにわかった。
 彼がよく話してくれた恋人に違いない。
 その女は俺から友人をひったくると、泣き崩れた。
 「間に合わなくて申し訳ありません!」
 「目の前にいる者を守るべき立場でありながら、たった一人の隣人ですら、守れなかったです!!」
 気が付けば雪乃降り積もる地面に頭をこすりつけていた。
 俺は、たとえこの小さな国を救うことができたとしても、助けることができなかった者が一人でもいたのなら自分を許すことができないのだ。
 その初めての敗北がきっかけで、俺はオカシクなってしまった。
 そして、その日から俺の前に女の姿をした亡霊が現れるようになった。


 意識は排気ガスで充満する街に戻ってきていた。
 俺を苛むあの日の出来事は、亡霊となり、俺の傍から離れない。
 亡霊はどこにいても、気付けば俺に微笑みかけてくる。
 その亡霊の姿は、俺が嫌いな不細工な女をしているあたり戦友の悪戯心が透けて見える。
 そういえばアイツとはよく女の話をしたな。

 -11年前
 「俺が抱くのは俺に相応しい女だけだ。」
 「欲しけりゃ譲ってやるよ。」
 「俺はお前と違って、その気になれば彼女なんてすぐにできる。」

 本当はわかっている。
 この怨念とうまいこと話さないと戦友を救えなかった呪いは消えないということを。
 傷を癒す方法は分かり切っているのに、俺はどうしても女に話しかけることができない。
 だが、心の中でもう一人の俺が叫ぶ。
 「俺は忘れてはならない!」
 「アイツのかすれた声!この世の未練を叫ぶ、心の慟哭を!!」
 「まだ、あの日の無力な自分を許してやるころができないんだ・・・」
 何度も繰り返した自問自答。
 きっとアイツは不甲斐ない俺を見て笑っているんだろうな。
 この街に巣食う悪を駆逐するうちに、きっと、前に進むことができるはずだ。


 探し続けていた組織の人間を見つけたのだ。
 「悪いな。」そう小さくつぶやくと、縮地で一機に間合いを詰め、電光石火の手刀で首筋を刈り取ろうとした。
 さすがは組織の人間だ。俺の奇襲は簡単に防がれた。
 そして異変に気が付いた悪人は奇声を発し、増援を呼ぶのであった。
 いかに強力な力を持つ俺であろうと、非武装状態で殺すことなく複数人を相手にすることはできない。
 俺は手加減ができるうちに、自らの正体を明かし逃げるチャンスを当たることにした。
 だが、そんな俺の恩情などお構いなしに組織の下っ端は俺の胸倉につかみかかってくるのであった。
 「今、いいまなら・・・みっ見逃してや・・・」
 あれ?おかしいな。なぜか声がどもってしまう。
 幾度も死線を潜り抜けてきたはずなのに脚が震えてしまう。
 組織の者は、そんな俺を指をさし、腹を抱えて笑っている。
 動揺する俺に耳に、挑発するような声が反響する。
 「いつもこの街を徘徊している傭兵の気取りの人って、おじさんでしょ?」
 「頭どうかしてると思って、いつも笑ってたんだけど。」
 「攻撃してきちゃったら、仕方ないよね?正当防衛ってやつ。いっきまーす!」


 どれだけ殴られ続けただろうか?
 本当はわかっている。
 自分はただの一度も人の役に立ったことがない無職だということ。
 その情けない生涯を覆い隠すたけに妄想に浸っていただけなのだと。
 そのすべてを認め、現実を受け入れた俺を嘲笑うかのようにチンピラどもは、要求する。
 「さあ、おじさん。懺悔の時間だ。」
 「認めちゃいなよ!自分は頭の悪いただの凡人だって。」
 「全部おじさんの気持ち悪い妄想だって。」
 「自分の妄想に浸って、粋がってただけだってさー。」
 「それさえ認めちゃえば、何も命まで取りはしないよ?」
 「私はどうしようもない嘘つきで、二酸化炭素を無駄に消費するゴミムシです!ってさー。」
 バットで強く後頭部を殴られる。
 一刻も早くこの状況から解放されたかった。
 もう自分の誇りなど、どうでもいいことだった。
 「わっ私・・・は、どう・・・しようも、ない。・・・嘘つきで。・・・ごみ、む・・・し、です。」
 「全然聞こえないんですけどー!」
 「私は、傭兵、などではなく・・・全部、私の妄想なんです!!!」
 屈辱と嗚咽に塗れながら向き合った、本当の自分はどこまでも無様な姿であった。


 「もう満足でしょう?彼を解放してあげて。」
 目の前に、いつもそばにいた亡霊がいる。
 彼女は俺はかばうように、チンピラたちの目の前に立ちはだかった。
 「なんだよ!この不細工な女は!」
 「あー、真剣シラけるー。」
 私なら即座に土下座をしてしまいそうなほどの威嚇にも関わらず、亡霊は私の傍から離れない。
 亡霊は、チンピラたちから唾を吐きかけながらも笑顔で私の手を強く握り、微笑みかけてきた。
 原因は不明であったが、チンピラたちは私たちを追邸人通りの多い道へと歩きだすのであった。
 それから亡霊は私の血にまみれた額をハンカチで拭い、自販機で購入したであろう真水で傷口を洗ってくれた。
 「なぜ私を助けたのですか?」
 そんな訝しむような態度にも関わらず、女性は優しい声色で語り始めた。
 「ある少女の話をしましょう」


 その少女はいじめられていました。
 原因ははっきりしていました。
 生活の貧しさがにじみ出る衣服に醜悪な見た目。
 でも、どれもが少女にはどうすることもできないことでした。
 生まれたからずっとイジメられてきた少女は理解していました。
 彼女の見た目はとても醜悪で、他者との差分が際立っていました。
 彼女はイジメられ続け、自身を守るために心は歪んでいました。
 当然、屈折した心の持ち主に近寄る者などいません。
 ただただ、陰口を言われ続けました。
 地獄にいるような毎日でした。
 ぬくもりをくれるのは両親だけ。
 ですが、彼女が大部分の時間を過ごす学校という小さな社会には、敵しかいません。
 彼女が死を選択することは、そう難しいことではありませんでした。
 雨と涙に濡れ、ようやくたどりついた暗い路地裏。
 縄をかけ、遺書を入念に読み返します。
 救世主が現れたのは、その時です。
 喋る言葉はドモり、喋っていることは理解できません。
 ですが、止めようとしてくれていることはわかりました。
 自分のために必死になってくれる人が家族以外にもいることは少女にとって、不思議なことでした。
 それと同時に、懸命に自分のことを気遣ってくれる少年に恋をしていることに気が付きました。
 その時、少女は自ら命を絶つことを辞め、その少年に生涯を捧げることを決意しました。
 なぜなら、その少年も彼女と同じように醜悪な見た目をしていたからです。
 すぐに少年もイジメられていると思いました。
 だから、自分が彼を支えてあねがくては、と思い立ったのです。
 それから、少女は彼の姿をひっそりと見守るようになりました。
 理解もできないのに難しそうな本を読むフリをして自尊心を保つ姿。
 いつものコンビニで大人の本を買う勇気が出ない姿。
 そのどれもがいとおしく映りました。
 気付けば二十四時間、三百六十五日、少年のことを見続けるようになってしました。
 そして、今日というキッカケが訪れたのです。


 私は、目の前にいる少女の言葉に捕らわれてしまいました。
 それと同時に、少女の愛する少年の過去を話さなくてはならないと思いました。
 かつて少年は一人ではありませんでした。
 その少年が初めてついた嘘は、たった一つの小さなものでした。
 「芸能人と知り合いである。」
 そんなすぐに嘘とわかる虚言に、少年の友人は「すごい」と言ってくれました。
 何一つ誇ることができない、少年の生涯にとって、始めて他人に羨望されたその瞬間は特別なものでした。
 ですから、その感覚を少年は忘れることができなかったのです。
 その感覚が忘れられない少年は、すぐにまた一つ嘘をつきました。
 そして、その嘘が生む矛盾を消すためまた嘘をつきました。
 嘘が嘘を呼ぶようになり、いつしか少年が話をはじめる度、嘘が増えるようになっていました。
 少年の虚言癖は、年を重ねるうち深刻なものになっていきました。
 いつしか少年を包む嘘は、彼の中で真実として扱われるようになり少年自身には嘘と真実の区別がつかなくなってしまいました。
 当然、周囲に者たちにはおかしなヤツだと思われます。
 そして少年はオモチャのように扱われるようになっていました。
 彼らは、少年に真実を突き付け狼狽する姿を見て遊ぶようになっていました。
 当然少年は真実を認めることはできません。
 だから少年は、自分のついて嘘の根拠を新たな嘘で作り上げるようになりました。
 そうして彼の嘘の歴史は木の根のように複雑に絡まり合い、いつしか制御できる範囲を超えるようになってしまいました。
 少年は精神安定剤の代わりに、嘘をつくようになってました・・・


 でも少年は、ようやく本当の自分と向き合うことができるようになりました。
 それと同時に大切な存在とも巡り合うことができました。
 それが、今日という日です。
 「情けない理由ですが、ようやく自分と向き合えた気がします。
 こんな愚かな私ですが・・・
 まだ私のことを愛してくれますか?」
 「毎日あなたのことを追いかけてしました。
 あなたに出会うことができたから、命をつなぎとどめることができました。
 あなたが私のすべてです。
 今度は私があなたの事を救いたい。
 私たちは一人で生きることでできません。
 あなたみたいな人は、この世界に少なくありません。
 周りから認められたくて自分を大きく見せる嘘をつき、その嘘を守るために、さらに嘘をつく。
 私、ちゃんと本を読んで、あなたの症状を調べました。
 ありのままのあなたを肯定する者がいれば治ると書いてありました。
 そしてあなたが私の話を聞いてくれる機会を待ってました。
 あなたには私がいます。
 今からでも遅くはありません。すべてを認めて新たな人生を私と一緒に歩みませんか?
 救っていただいたこの命、そのすべてを捧げあなたを支え続けることを誓います。」
 「・・・でも俺はまた嘘をつくかもしれない。
 その嘘は、君を傷つけるかもしれない。」
 「はい、わかっています。」
 「あなたを助けたのも、自分の汚い承認欲求のためにやったただの自己満足なんだ。」
 「ええ。知っています。
 でも、あの時の私に必要だったは、間違いなくあなただったんです。」
 「でも・・・」
 「もう、何も言わなくてもいいです。」
 次の言葉を紡ぐことができなかった。
 ・・・唇が塞がれている。
 久しぶりに触れた他者のぬくもりは、凍えていた私の心を容易く溶かした。


 三か月後ー
 現実は厳しいけど、それでも何とか本当の自分と向き合えるようになっている。
 友人も一人だができた。
 嘘をつかなくなったからこそ掴むことができた平穏な日々。
 他者から見たら大したことのない、普通の生活。
 その有難さに気付くことができた俺は、当たり前な日々を精一杯大切にしていこうと思う。
 「なぁ聞いてくれよ!俺の彼女は女優なんだぜ!」
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