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チラシの裏~勇者でいこう
ヘタレな勇者のブログ
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 今日のSINoALICE(シノアリス)はどうかな?


 SS1点確定ガチャ:被虐偏で、SSの探求の注射器、Sの水脈の剣、Aの盲信者の怨念、偽善者の施し、滅鬼の鉄槌、悪女の悲劇、見習いの杖、夢幻の魔書、賢者の杖、白雷の杖をゲット!


 SS1点確定ガチャ:虚妄編で、SSの虚妄の大槌をゲットして、グレーテル/クラッシャーを解放!Sの叡智の宝玉、Aの幸福の提琴、妖銃黒白、八裂きの槍、白雷の杖、亡国の古銃、人形使いの魔法、異国の書、白紙の魔書をゲット!


 SS1点確定ガチャ:束縛編で、SSの卑劣の喇叭、Sの被虐の杖、黄金の弓、Aの邂逅の逡巡X2、愛緑者の聖槍、偽善者の施し、占い水晶、夢幻の魔書、竜化の鎌をゲット!


 自分が獣と違う存在だと理解したのは、いつからだろうか。
 ワタシと同じ場所で暮らす獣たちは喋らず、洞窟の性格は退屈で単調。
 その心の隙間を埋めるなにかを求めて放浪し、ワタシは見つけた。
 いつも仲間と笑い合い暮らすニンゲンという生きものに。
 彼らは牙も爪もない。
 弱い生き物。
 でも彼らは言葉を、知恵を持つ、興味深い生きものだった。
 あのニンゲンの輪に入りたい。
 そう思うようになってから、ワタシは彼らを観察し続けた。


 ニンゲンは獣を狩ると喜ぶ。
 木の実や果実、鉱石を採って喜ぶ。
 そしてニンゲンは喜ぶと笑う。
 見ていると暖かくなる、そんな顔。
 そのかを見たくて、獣を狩り、鉱石を集めて運んだ。
 だがニンゲンはワタシをバケモノと呼び、殺そうとした。
 やはり人間は父から聞いた通り見た目ですべてを判断するのか。
 そう気づいた私はニンゲンに近づくのをやめた。


 ワタシは寂しかった。
 気が付けばいつも、ニンゲンのことを眺めていた。
 ニンゲンは私の憧れだった。
 そしてあるときふらふらと歩くニンゲンと出会った。
 彼女がつまづき、倒れたときに、思わず姿を表し、助けてしまった。
 でも彼女は醜いと叫ばなかった。
 それどころか小さく笑ってありがとうとほほ笑んだ。


 それからワタシは毎日、彼女に会いに行った。
 だがワタシはニンゲンの言葉はわかるが、話すには苦手だ。
 だから彼女の名前がうまく言えない。
 だが、彼女はワタシの拙い口調にも注意深く耳を傾け、いつも微笑んでいた。
 でもなぜバケモノと言われたワタシの近くにいられるのだろう。
 答えは単純だった。
 彼女は目が見えていなかった。


 それからワタシたちは二人の時間を重ねた。
 彼女もきったワタシの本当の姿を知れば、ワタシを恐れ、離れていってしまうだろう。
 だからこれ以上、彼女がワタシにとって大切な存在になる前に、自分の姿が、ひどく醜く恐ろしいことを打ち明けた。
 「でも、あなたはいいヒトです」
 その一言で、自分もニンゲンに偏見を抱いていたのだと気付いた。
 彼女は見た目ではなく、ワタシの心を知り、判断してくれたのだ。
 その時きっとワタシは笑えていたと思う。
 ニンゲンと同じむき出しの笑顔で。


 それから彼女とワタシの距離は急速に近くなった。
 彼女はワタシにこんな日常を人間はなんと叫ぶかを教えてくれた。
 その言葉はワタシの一番好きな言葉になった。
 そしてある日の星がきれいな夜。
 二人が出会った場所で彼女は言った。
 「これからもずっと一緒にいたい」
 ワタシはまだ、自分がバケモノであることを伝えてはいない。
 今はもう、彼女を失うことはできない。
 だから真実を打ち明けることはできない。


 日に日に真実を打ち明けることは難しくなっていった。
 嘘を肯定しようとする姿はきっと容姿より醜いことだろう。
 その事実は彼女の隣にいるべき存在でなりことを如実に物語っていた。
 その時、柔らかな風が吹いた。
 ワタシはあの日まで彼女に偏見を抱いていたことを思い出した。
 それからはもう、何も怖くなかった。


 嬉しくても涙が出るのを初めて知った。
 ワタシたちの気持ちは同じだったのだ。
 ひとしきり喜びを分かち合うと、彼女は一つだけ条件を出した。
 「これから一緒に暮らすのなら、村の人たちにも認めてもらいたいの」
 信じることを大切さを学んだわたしはすぐにうなづいた。
 「まずは私が話してくるね」
 と村に向かう彼女を送り出すと、ワタシは一緒に暮らす家をつくり始めた。
 どこまでも幸せな時間だった。


 村から戻った彼女はすぐにワタシを村に案内することにしたようだ。
 村への道中、彼女は緊張し始めたのか、口数は少なかった。
 視界の先に村が見え始める。
 武装したニンゲンは、ワタシを警戒し、武器を構える。
 でも大丈夫。彼女がいる。
 彼女はゆっくりとワタシの側を離れ、兵士の元へと向かっていった。


 「あの化物を八つ裂きにして!」
 彼女はいったい何を考えている?
 さまざまな感情が、ワタシの心を食い荒らす。
 兵士たちは武器を突き立てるが、身体の痛みは感じなかった。
 ただ・・・ただ、ひたすらに心が痛い。


 それから後のことは覚えていない。
 気付けば深い洞窟の中にいた。
 彼女の嘘はどこからだろうか。
 彼女の言葉に、真実はあったのだろうか。
 答えは出ない・・・
 ・・・考えるだけ無駄。
 でも、いつまでも思考が止まらない。
 知性などなければよかった。
 ニンゲンの言葉など理解できなければよかった。
 彼女と出会わなければよかった。
 でもやっぱり、彼女は・・・
 ニンゲンになることはできない。
 でも彼女の気持ちを理解するためには彼女の過ごした世界を知るしかない。
 だからワタシじゃ、自らの光を奪い、彼女のいた黒い世界へと歩き出すことにした・・・


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